OpenAI幹部、「GPT-5がエルデシュ問題を解決」と投稿──専門家らの批判受け削除

専門家から「科学的根拠が不明確」との指摘 AI研究の透明性を巡る議論が再燃

米OpenAIのケビン・ワイル副社長は10月17日(現地時間)、SNS「X」で「GPT-5がこれまで未解決だった10件のエルデシュ問題を解決し、さらに11件の問題にも進展をもたらした」と投稿した。
これに続き、同社の研究者セバスチャン・ブベック氏も「2人の研究者が週末にGPT-5の支援を受けて10件のエルデシュ問題を解いた」と投稿。
しかしこの発言に対し、Google DeepMindのデミス・ハサビスCEOやMetaのチーフAIサイエンティストであるヤン・ルカン氏が相次いで批判のコメントを寄せた。

これらの投稿はいずれもすでに削除されている。
ワイル氏とブベック氏の発言内容は、それぞれのポストのスクリーンショットで確認可能だ。
なお「エルデシュ問題」とは、ハンガリーの数学者ポール・エルデシュが提示した一連の数学的課題の総称で、離散距離問題や食い違い問題など、数学界でも特に難解とされる問題群を指す。

 https://www.erdosproblems.com/
https://www.erdosproblems.com/

ブベック氏が引用したのは、OpenAI研究者マーク・セルケ氏の投稿で、「GPT-5が10件のエルデシュ問題の解を“発見”した」という内容だった。
ただし、この“発見”とは、GPT-5が既存の解法をインターネット上で見つけ出したという意味であり、新たな数学的解決を示したものではなかった。
こうした投稿に対し、Google DeepMindのデミス・ハサビスCEOは「これは恥ずべきことだ」とコメントし、批判的な姿勢を示した。

ブベック氏はその後、問題の投稿を削除し、「誰かを誤解させるつもりはなかった」として謝罪した。
さらに、「GPT-5は文献から既存の解法を見つけただけだったが、文献検索の難しさを考えると、それ自体が大きな成果だと感じている」と説明した。
これに対し、MetaのチーフAIサイエンティストであるヤン・ルカン氏は、「自分たちの誇張で自爆した」と皮肉を込めて返信(“petard”をもじって“GPTard”と表現)している。

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