米NVIDIAは10月28日(現地時間)、フィンランドの通信機器大手Nokiaとのパートナーシップを発表し、同社に10億ドル(約1500億円)を投資する計画を明らかにした。
両社は今後、AIを活用して通信品質を最適化する次世代無線ネットワーク「AI-RAN」の展開およびインフラ構築で協力していく。
NVIDIA、Nokiaに10億ドルを投資 AI搭載型ネットワーク「AI-RAN」で戦略的提携
— 6G時代を見据え、AIネイティブな通信インフラ構築を共同で推進 —
米NVIDIAは10月28日(現地時間)、フィンランドの通信機器大手Nokiaとの間で、AIを活用した次世代無線ネットワーク「AI-RAN(AI-Radio Access Network)」の開発・商用展開に向けた戦略的パートナーシップを締結したと発表した。
同時に、NVIDIAはNokia株式に10億ドル(約1500億円)を投資する方針も明らかにした。出資価格は1株あたり6.01ドルで、通常の承認手続きを経て完了する予定。
この提携により、両社はAIを統合した通信ネットワークの開発を加速させ、「AIネイティブ時代の無線通信」の基盤構築を目指す。通信事業者がNVIDIAプラットフォーム上でAI対応の5G-Advancedおよび6Gネットワークを展開できるよう支援する狙いだ。
AIが支える次世代ネットワーク「AI-RAN」とは
NVIDIAは同日、**6G対応の通信コンピューティング基盤「NVIDIA Arc Aerial RAN Computer(ARC-Pro)」**を発表。
このプラットフォームは通信・計算・センシングを統合する設計で、ソフトウェア更新によって5G-Advancedから6Gへのシームレスな移行を実現する。
NokiaはこのNVIDIAプラットフォームをベースに新たなAI-RAN製品群を開発し、自社のRAN(無線アクセスネットワーク)ラインナップに組み込む。
さらに、NVIDIAのCUDA技術を活用した5G・6G RANソフトウェアの提供を加速させ、AIを中核に据えた通信基盤の商用展開を進める方針だ。
T-Mobile U.S.も6G開発で参画
米通信大手**T-Mobile U.S.**は、NVIDIAおよびNokiaと協力し、AI-RAN技術の6G向け実証実験を実施する計画を発表。
2026年からフィールドテストを開始し、AIによる通信効率・性能向上を検証するという。
同社は「AI-RAN Innovation Center」で得た知見を活かし、6G時代のネットワーク体験を先導する考えを示している。
Dell Technologiesもハードウェア面で支援
Dell Technologiesは、NokiaのAI-RANソリューション向けにPowerEdgeサーバーを提供。
AI-RANのスムーズなソフトウェア更新やスケーラビリティを支えるインフラとして、5Gから6Gへの進化を支援する。
6G時代の“AIネイティブ・ネットワーク”へ
NokiaとNVIDIAが共同で開発するAI-RANプラットフォームは、AIと無線アクセスを統合するソフトウェア定義型インフラを特徴とし、
通信性能、エネルギー効率、収益性を高めながら、6Gへの移行を容易にするという。
将来的には、AIアルゴリズムを活用して周波数利用効率や消費電力を最適化し、ドローンや自動運転車、AR/VR機器といったAIネイティブデバイスの膨大な通信需要にも対応する見込みだ。
経営陣のコメント
NVIDIA創業者兼CEOのジェンスン・フアン氏は次のように述べた:
「通信は国家の神経系ともいえる重要インフラだ。AI-RANはNVIDIAのCUDAとAIを基盤に、通信技術を世代的に進化させる。
米国が通信分野で再び世界をリードできるよう、Nokiaや米通信業界とともに“知能を持つネットワーク”を構築していく。」
Nokiaの社長兼CEO ジャスティン・ホータード氏も次のように語っている:
「次の通信の進化は5Gから6Gへの単なる延長ではなく、ネットワーク全体をAIで再設計することにある。
NVIDIAとの提携と出資によって、AIデータセンターを“ポケットサイズ”で実現する未来が近づく。」
市場規模は2030年に累計2,000億ドル超へ
調査会社Omdiaによると、AIを活用したRAN市場(AI-RAN市場)は2030年までに累計2,000億ドルを超える規模に成長すると予測されており、両社の提携はこの巨大市場を先取りする動きとみられる。
また、AIとネットワークを融合することで、生成AIや自律AIエージェントなどによるモバイルAIトラフィックの急増に対応し、ユーザー体験を向上させる狙いもある。
今後の展開
NokiaとNVIDIAは、データセンター向けのAIネットワーキングソリューションでも協業を進める。
具体的には、NokiaのSR LinuxをNVIDIAのSpectrum-X Ethernetネットワーク基盤に統合し、AIデータセンター向けの最適化を図る。
さらに、光通信技術の活用を含めた次世代AIインフラの共同研究も検討している。
