Anthropic、「Claude」に新機能を追加 専門タスク対応の「Agent Skills」など3機能を発表
米Anthropicは2025年10月16日(米国時間)、生成AI「Claude」に3つの新機能を追加したと発表した。
特定の業務タスクをより正確にこなすための「Agent Skills(以下、Skills)」、MCP(Model Context Protocol)を利用してMicrosoft製品と連携する「Microsoft 365コネクター(Microsoft 365 connector)」、そしてClaudeが社内データソースを横断検索できる「エンタープライズ検索」の3機能だ。
■ Claudeを“専門家”に変える「Skills」機能
「Skills」は、ユーザーの指示やスクリプト、テンプレートなどをフォルダ単位でまとめた“再利用可能なリソース”として設計されている。
Claudeは必要に応じてこれらのSkillsを読み込み、たとえばMicrosoft Excelの操作や、企業のブランドガイドラインに準拠した文書作成など、専門的な業務を正確に実行できる。
Anthropicは「Claudeが企業の重要分野で“専門家”として機能するようになる」と説明している。
■ Skillsの仕組みと特徴
Claudeはタスク実行時に利用可能なSkillsを自動スキャンし、該当するものを検出すると必要なファイルや情報のみをロードする仕組みを採用。
Skillsの設計思想には、以下の4つの特徴がある。
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構成可能性:タスク内容に応じて最適なSkillを自動判定・呼び出し、必要に応じて複数のSkillを組み合わせて実行。
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ポータビリティ:一度作成したSkillは、Claude.ai、Claude API、Claude Codeなど、すべてのClaude製品で利用可能。
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効率性:「段階的ロード(progressive loading)」を採用し、必要なデータのみを読み込むことでコンテキストの効率を維持。
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拡張性:SkillにはbashやPythonなどのコードも含められ、データ処理やファイル操作といった高度な自動化タスクにも対応。ただし、信頼できるソースからの利用が推奨される。
■ 利用対象と提供内容
2025年10月時点で、Skillsは「Pro」「Max」「Team」「Enterprise」プランのユーザーが利用可能。
一般的な業務に使えるプリセットSkillsのほか、カスタマイズ例や独自Skillの作成機能も提供される。

ユーザーは、「skill-creator」Skillによる対話形式のガイドに沿ってカスタムSkillを作成できる。
■ Team/Enterprise向けの利用条件
「Team」および「Enterprise」プランのユーザーがSkillsを利用する場合は、管理者が組織全体で機能を有効化する必要がある。
■ Claude Codeとの連携
Skillsは、チーム固有の知識や業務フローをClaude Codeに統合することも可能だ。
公式GitHubリポジトリ「anthropics/skills」からサンプルを入手して導入できるほか、「~/.claude/skills」ディレクトリに手動で追加することもできる。
Gitなどのバージョン管理を活用すれば、チーム間でSkillsを共有・更新することも可能だ。
また、Claude Agent SDKでは、カスタムエージェント開発時にSkillsの読み込みや管理機能をサポートしている。
■ Microsoft 365コネクターによる業務ツール連携
「Microsoft 365コネクター」は、MCP(Model Context Protocol)を通じてClaudeをMicrosoft製品と接続する機能。
「SharePoint」「OneDrive」「Outlook」「Teams」などと連携することで、Claudeがドキュメントや会話内容のコンテキストを理解し、コラボレーションの効率を高めることができる。
■ Microsoft 365コネクターの提供範囲
「Microsoft 365コネクター」は、2025年10月時点でTeamおよびEnterpriseプランのユーザーが利用可能となっている。
■ エンタープライズ検索で社内知識を横断活用
「エンタープライズ検索」は、ユーザー企業ごとに設けられた専用プロジェクトを通じて、社内のナレッジに横断的にアクセスできる機能。
利用には、管理者が事前に自社のデータソースを接続・設定しておく必要がある。
この機能により、ユーザーがClaudeに質問すると、接続済みの社内データソースをまとめて検索し、個人ファイルだけでなく組織全体の知見を踏まえた回答を得られるようになる。
Anthropicによれば、エンタープライズ検索は新規メンバーのオンボーディング支援や、顧客フィードバックの分析、適切な社内専門家の特定などに活用できるという。






